年間12万人の方が肺炎で亡くなられています。
9割が65才以上の高齢者です。
唾液は体温と同じでダラダラと喉に流れていき、喉の奥でむせる感覚を阻害していきます。また、嚥下反射の感覚も阻害されむせない誤嚥が起こります。
どういう時に起こるのでしょうか。
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実は寝ている時が一番多くなります。
誤嚥性肺炎の大半は、唾液誤嚥だと言われています。口腔ケアが有効な手段として行われています。
そもそも唾液が肺に入れなければ唾液誤嚥は生じないと考えた姿勢があります。
救命救急時の回復体位は、体調急変時の嘔吐を口から出す姿勢です。
この考えを唾液誤嚥予防に適用するとうまくいきます。
透明咽頭モデル「トラピス」(http://bit.ly/37GgMvZ)は、喉の内部構造と液体の流れが見れます。
実際の喉は複雑で正面から見ると横に広くなっています。
側面から見ると、食道は普段封筒のようにペッチャンコにくっついているのでモデルでは食道はないです。
この状態では唾液も流れません。
回復体位では、胃からの嘔吐物は、食道を経て喉に入った瞬間に食道の入り口が閉じられ胃へ戻ることはできません。回復体位は、行き場のない嘔吐物を肺ではなく口元に誘導して口から出す体位です。
【回復体位を誤嚥性肺炎予防の姿勢と考えると】
・口から出た唾液を口から出す。
・肺から出た痰(分泌物)を口元へ誘導する。
真横(完全側臥位)になると喉の側面は、口と気管が水平になります。下側の喉の側面が窪みのようになり鼻水や唾液を溜めておく空間が生じます。この事実はトラピスができるまで摂食・嚥下に取り組んでいる医療従事者でさえ理解されていませんでした。
完全側臥位で頭を少し下げると肺〜喉〜口と勾配がつくので、鼻から喉に流れ込んだ鼻水や口から出た唾液は肺に入ることはできないです。口元を下げるとよだれとして、唾液や痰は口から流れ出ます。
完全側臥位で頭を上げると口~喉~肺と勾配がつくので、鼻から喉に流れ込んだ鼻水や口から出た唾液は肺に向かいます。
このように、頭の高さで唾液誤嚥予防姿勢が唾液誤嚥促進姿勢に変わります。
● 唾液を肺から遠ざける回復体位
完全側臥位になり、枕を低く口元を下向きにする。
この姿勢では、唾液は喉の奥に流れにくくなり、ほほに溜まり口元から流れ出やすくなる。
経鼻経管栄養や胃瘻では、唾液の量は増えます。仰臥位でギャッチアップしていると唾液でむせて咳き込むと腹圧がかかり胃内容物の逆流につながり誤嚥する場合があり、この回復体位が有効です。
これが、唾液誤嚥予防の姿勢 「回復体位」です。
体に楽な回復体位は、肩と肘を平行にすることにより、胸が張り(胸郭が開き)呼吸がしやすくなります。大転子(骨盤)と膝、踵を平行にすることにより体のねじれが防げます。
● 回復体位クッションの構成
回復体位クッションは、カバー・腕中材・足中材・高さ調整小袋からなります。チャックを開けて、ボリュームを足したいところに高さ調整小袋を入れ、チャックを閉めたのちビーズを手でならして、腕や足の高さを調整できます。中材は写真の向きに入れる。中材のビーズ取り出し口よりビーズを抜いて低くすることができます。
中材がずれない様に、カバー内部のボタンと固定します。
高さが調整できる
・側臥位になると仰臥位より、マットに接する面積が小さくなるため圧力が高くなります。特に下になった肩、腰、腕、くるぶしに圧がかかり痛みを感じたり、場合によっては褥瘡の危険性が高くなるので注意が必要です。
・男性や女性、個人による体格差と低反発マットレスやエアーマットレスなどの沈み込みにより、マット面から腕や足の高さは異なります。
・チャックを開けて、付属のクッションを必要な個所に入れビーズを移動させて高さ調整してください。
・高さが足らない場合は、タオルなどを折りたたんで必要な個所に入れ調整してください。
・クッション部が高い場合は、ビーズ取り出し口からビーズを抜いて調整してください。
クッションの厚み調整
ビーズ取り出し口のひもを緩め、トイレットペーパーやラップの芯などのパイプを利用して、ビーズをクッションから出し入れして厚みの調整できます。
また、男性と女性では肩幅に差があるので、小袋の出し入れで上肢の高さを調整できます。
一回調整すれば、誰がやってもほぼ同じ回復体位が調整できます。
肘が肩より高くなると痛みを感じやすくなります。同じくらいか少し低いぐらいがいいです。
● 回復体位クッションとピタットくん90ワイドの併用例
回復体位の調整方法
回復体位姿勢は完全側臥位と同じ調整方法で、頭の位置下げて口元を下にすることで唾液を肺から遠ざけるようにします。
回復体位クッションを購入していただくと
・姿勢調整ビデオ
・唾液誤嚥について
・唾液の色について
説明したDVDを付属にしてます。
完全側臥位のアドバイスを受けたい方は、こちらをクリック
平成30年7月27日
「逆流をしないように、必ず45度にギャッジアップするように。 」
リハビリ病院で退院に向けて、経鼻胃管による経管栄養のやり方を看護師さんから教えていただいた時に教わったことです。
「逆流しては大変‼︎」
ノートに書き、赤く囲みました。
父が退院して自宅に帰ってきてからずっとそれを守って、栄養剤を流す前には必ず「ギャッジアップ45度OK」と声に出して確認していました。
うっかりしてしまうことがあるので…
でも父は注入中、口の中に痰が溢れてゴロゴロと、とても辛そうで身体にも力が入り苦悶の表情をしていました。
心配になり何度も父の所に様子を見にいきました。
この時間が父にとって本当に辛そうだったので、福村先生にご相談をしたら、嚥下障害があると注入中に増える唾液に対応できなくなるから、注入中も回復体位で良いと教えていただきました。
嘔吐時の誤嚥を防ぐ姿勢なので注入時に万が一吐いても誤嚥しにくいとのことでした。
回復体位とは完全側臥位より頭を下げ、口を下に向けてのどより顔を下に向けるようにしたものです。
さっそく回復体位にしてみると…
すごぉーい☆ゴロゴロすることなく、父はとても穏やかな表情で最後までリラックスしていました。
体位を変えるだけで、こんなにもリラックスさせてあげられるなんて☆
驚きとともに感激しました。
胃の貯留は大湾といわれる左側が主体と考えられているため、注入中の側臥位はどちらでもいいけれど、左下がより良いと先生に教えていただきましたので、それからは左下回復体位で注入するようにしています。
…なぜ病院ではこの体位で行われていないのか不思議に思います。
私の購入した経管栄養のやり方の本にも「30度〜60度の利用者の望むファウラー位で行う、上体を起こすことで栄養剤が逆流し肺に入るのを防ぎます」と書かれています。
訪問看護師さんもギャッジアップでと習ったとおっしゃっていました。
でも実際に目の前にいる父はギャッジアップにすると苦しいと苦悶の表情をします。
回復体位にするとスヤスヤ穏やかな表情でいます。
どちらが楽なのか父が教えてくれます。
よく一般的でないから…ということを言われますが、一般的かどうかなんて父には関係なくて、楽でありたいのだと思います。
介護する側の思い込みが介護される側を苦しめてるとしたら…それはとても悲しいことだと思います。
父のリラックスしている姿を見ると私も安らいだ気持ちになります。
福村先生の教えてくださることを実際にさせていだたくと、驚きと感動と喜びがあります♡
平成30年8月3日
~うれしいこといっぱいの回復体位~
在宅に切り替えるにあたってとても不安だったことは、たん吸引でした。
父は1日に頻繁に吸引する必要がありました。
取りきれなくてたんが肺に入ってしまったらどうしよう…とすごく不安でした。
入院中、看護師さんにお願いしてとにかく触って慣れることができるように、毎日吸引器のやり方を教えていただいて覚えました。
いろいろな看護師さんが吸引してくださるのを見ましたが、苦しそうに身悶えする時もあり、そんな父を見るのもとてもつらいことでした。
どうしたら苦痛を軽減できるのかを知りたくて練習し始めた頃、吸引カテーテルを口や鼻から入れられるというのはどんな気持ちなのだろう…と、父の気持ちを知るために自分で自分の口や鼻に入れてみました。
入ってくるタイミングもわかっているのになんとも言えない怖さで首や肩が緊張して力が入りました。
お鼻に入れた場合は抜いた後もしばらく嫌な感じが残りました。
こんなに嫌な思いをしながら父はずっと耐えてきたんだ…
涙が出ました。
せめて、できるだけ優しく痛みのないようにカテーテルを入れたり、いたわりの言葉をかけることを心がけようと思いました。
退院して父が家に帰ってきた日、父を家に連れてきてあげられた安堵とまた一緒に暮らせるという喜びが胸に広がりました。
それと同時に、これからは自分が父のたん吸引をしっかりやらなくちゃと、気が引き締まる思いと緊張感がありました。
何度も父の様子を見に行き、ゴロゴロしたら吸引するようにしていましたが、心配で落ち着きませんでした。
ゴロゴロしているのに取りきれない時には咳をしてもらって、たんが上がってきたら取るように教えていただいたので、父に咳を促して取るようにしていましたが、咳をするということも父には難しいようでした。
吸引そのものが父を疲れさせているように感じて、する私もとてもつらくて…謝りながらしていました。
このようにたん吸引はつらいものでしたが、福村先生から教えていただいた回復体位のおかげで、父も私もずいぶん楽になりました。
父はパーキンソン病による拘縮があり、首の骨が反り返ってしまっています。
福村先生はそのことによって、つばを貯めるスペースを骨が潰していて、普通の人より仰臥位にすると唾を貯められるはずのスペースがなくなってしまっているため、仰臥位になることで唾液誤嚥が持続的にあることを教えてくださいました。
唾液をなんとかするために、とても体力を使うからなるべく仰臥位で過ごすことをやめて側臥位で過ごすと良いことも教えてくださいました。
吸引してもすぐにゴロゴロしてしまうのはそのためだと知りました。
さっそく回復体位にしてみると、痰が自然と口の外に流れ出てきて、ゴロゴロしないので、とても呼吸がしやすそうで首や肩の緊張もなくリラックスしています。
吸引もずいぶんと楽になりました。
つらい鼻からの吸引はしなくてよくなりました。
父の苦しみを減らすことができて、私もずいぶん救われています。
吸引に対する不安がなくなり安心して在宅でみることができることは、本当にありがたいことです♡
体位ひとつでこんなにも父をリラックスさせてあげられるなんて☆感動しています。
たん吸引の苦しみが軽減される方法があることも、完全側臥位によって経口摂取できるのと同じくらい世の中に広まってほしいことです。
「唾液が肺の方に行かないようにすると食べることにつながる」
福村先生の言葉をしみじみと感じています♡
8月23日
「唾液をなんとかするためにとても体力を使うからなるべく仰臥位をやめて側臥位で過ごすようにするといい」
と、福村先生に教えていただいてから
回復体位と側臥位を増やすようになって父がリラックスして過ごせる時間が増えました。
それから吸引回数も減りました。
以前は就寝時には、仰臥位にしてエアマットの自動体交を使っていました。そして夜中に2回ほど吸引していましたが、父の口の中を見ると泡状になった唾がお口いっぱいの時もあって呼吸が苦しそうでした。
眠っている時に吸引カテーテルを奥の方まで入れて吸引されるのも、とてもつらそうで私も申し訳ない気持ちでした。
就寝時も回復体位や側臥位にして自動体交ではなく、母と私で体位変換をするようにしました。
夜に起きて父の顔を見るとスヤスヤ気持ち良さそうに寝ています。
お口の中に唾が溜まって呼吸が苦しくなることなく、表情がとても穏やかです。
それを見て私もすごくホッとします。
父の寝顔を愛おしく思います♡
回復体位にしていると、唾は自然と下になっている頬の内側に溜まり、お口の外に溢れ出てくるのでそんなに奥までカテーテルを入れずに済みます。
吸引のつらさで父を眠りから起こすことがなくなりました。
夜中の吸引も1回で大丈夫になりました。
仰臥位の時は父が苦しくなっていないか心配で気になって、私も熟睡できませんでしたが、今は熟睡できるようになったのもとてもありがたいです。
回復体位によって吸引も楽になりましたし、回数も減らすことができて、父にとっての苦痛を減らしてあげることができて本当に良かったです。
父は首の反り返りが強く、円背もあるので仰臥位にするとお口が開いてしまいますが、回復体位にするとお口も自然と閉じることができることも、うれしいことです。
とてもリラックスした表情をしています♡
父がリラックスして過ごせているのを見るとこちらもとても和らいだ気持ちになります。
体位を変えるだけで、安らいだ時間を過ごさせてあげられます。
このことをたくさんの方々にも知っていただけたらと思います。
【唾液でむせないための5つのポイント】をお渡しします。
枕元に置いてご家族とケアスタッフと共有してください。
唾液誤嚥予防の姿勢調整や回復体位クッションの使い方などを付属のDVDがサポートします。
ふたこぶラックン・ピタットくん90ワイド・回復体位クッションには、【完全側臥位法実施支援動画】DVDを付属にしています。
収録内容
1.完全側臥位姿勢調整(ピタットくん90ワイド) 3m35s
2.完全側臥位食事介助 3m5
3.完全側臥位自力摂取 2m54s
4.完全側臥位頚部回旋(ふたこぶラックン)2m45s
5.前傾座位姿勢調整(ラーメンをすする姿勢) 5m9s
6.回復体位調整(唾液誤嚥予防姿勢) 3m3s
7.唾液誤嚥について 34s
8.唾液の色について 2m12s
9.ふたこぶラックンの使い方 3m50s
10.ピタットくん90ワイドの使い方 1m26s
11.回復体位クッションの使い方 3m15s
摂食・嚥下障害看護認定看護師
福村弘子看護師
監修 社会医療法人健和会 健和会病院
総合リハビリテーションセンター長
福村直毅医師
制作:(株)甲南医療器研究所 前田悟
常識を疑うことから、時代のブレイクスルーは起こる。
嚥下治療、食支援において行き詰まりを感じている全ての方に知ってほしいのが【完全側臥位法】です。
2007年のある日、福村医師と田口言語聴覚士はある嚥下障害患者のVEを行っている際に一側嚥下(半側臥位)を確認していた時に、「いっそしっかり横を向いたら自力摂取できるんじゃないですか?」と田口言語聴覚士が言う。横になって食べた際の咽頭構造と嚥下動態をイメージした福村医師は、これだと確信した。【完全側臥位法】が生まれた瞬間だ。
それ以来日々臨床研究され、2012年に論文発表される。
仰臥位を中心とした従来の嚥下治療では、嚥下評価で誤嚥のリスクがあるという理由で口から食べることを禁止されることが多くなっている。その様な方でも完全側臥位で食べられる方が多くいます。
患者さんの希望を奪い取るのでなく、希望を叶える可能性を学びませんか?
完全側臥位法のことならおまかせください!
株式会社 甲南医療器研究所
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