食事中のむせと誤嚥予防

食事内容には気を付けている

  • トロミをつけたり、刻み食をしたり食形態には気を付けている。
  • 一口量や食べる速さにも気を付けている。

なのに、むせたり、せき込んだりしていませんか

水分によるむせは要注意です。

水分によるむせの原因には3つあります。

1.気管に入らないようにする蓋(喉頭蓋)がうまく閉まらなかったり、蓋が変形している場合。

2.気管や食道入り口付近で水分や食物が残る場合。

3.ごっくんがなかなかできない場合(嚥下反射惹起遅延)。

 

このような場合は、病院で検査をしなくてはわかりません。医療従事者に相談してください。

訪問診療で内視鏡(VE)検査を実施している病院や歯科医院があれば、在宅でも診てもらえることができます。


● ~リハビリや介護現場で使える~喉3断面図

胃につながる食道入口部は普段は閉じており飲食物は胃に流れ込みません。

気管の入り口付近に食材が溜まる梨状窩が2カ所あり、飲み込むタイミングを待ちごっくんします。

この空間は座位やリクライニングの場合は声帯より上にあり誤嚥の危険性と隣り合わせで飲み込んでいます。

 

飲み込む動作は複雑な動作をしますが、安全に飲み込むには、

➀飲食物が気管に入らないようにフタ(喉頭蓋)をする 

②飲食物を食道に押し込む

③食道の入り口が開き、飲食物を食道に入れる。 

この3条件がほぼ同時に起こります。どれかが不十分であったりタイミングがずれると誤嚥の恐れが生じます。

 

誤嚥原因の具体的例


➀飲食物が気管に入らないようにする蓋に問題がある場合(喉頭蓋機能不全(こうとうがいきのうふぜん))

・蓋が閉じない。

・蓋が変形している

・飲食物の通過と蓋を閉じるタイミングが合わない

  誤嚥が起こるときの症状: 水分でむせる、声ががらがらする

②飲食物を食道に押し込む(飲み込む)時の問題

食道の入り口に飲食物を押しこむ力が弱かったり、押し込むのに時間がかかると入り口付近に飲食物が残りやすくなる。(食物残留) (嚥下反射惹起遅延(えんげはんしゃじゃっきちえん))

 

  誤嚥が起こるときの症状:  水分でむせる、声ががらがらする

③食道の入り口の開きに問題がある場合(食道入口部開大不全)

普段、食道の入り口は封筒の封入口の様にくっついています。のど仏が上がると同時に入り口が開きます。何らかの理由で入り口があかない場合は、食道に飲食物が入らず、気管に入り誤嚥します。

食道の入り口の開きが悪い場合、下あごを突きだし初めから入り口を開けようとしたり、頭を左に回すと右の入り口を引っ張りあけたりします。

誤嚥が起こるときの症状: 食事だけでなく唾液ものめない。水分は飲めるが固形物は飲めない

 

※専門的にはまだまだありますので、専門書で確認してください。

 

誤嚥しにくい頭頸部姿勢は、飲食物が気管の入り口に入りにくくしたり、食道の入り口が入りやすくするように工夫しています。

 

軽度から中度の嚥下障害では、座位の場合頸部前傾、ベッド上の場合頸部前屈や頸部前屈突出姿勢が基本です。頸部前屈突出(頭を高くしてあごを少し引く)すると食道の入り口もひろげやすく、押し込む力がしやすくなります。

 

 


病院のリハビリや食事でする

嚥下しやすい姿勢

嚥下しやすい姿勢は、症状によって、姿勢によってことなります。

頭頸部を調整する前に、体幹がずれにくくする一般的な姿勢調整を紹介します。

そして。2つの食事場面にわけ、それぞれに適した食事姿勢を紹介します。

 

  1. ベッド上で、リクライニング角度30度から60度での、食事 (軽度~中度嚥下障害)
  2. リクライニング車いすでの、食事  

 

調整に必要な物


1.枕、タオル、クッション

  →嚥下しやすい頭頸部を調整。

2.肘クッション

  麻痺があれば肘当てを置き体が傾かないようにする。

3.膝下クッション

  ベッドの膝折り曲げ頂点と膝の位置を合わす。

4.足元クッション

  足の裏が接していると嚥下しやすいといわれています。

 

● ベッド上での一般的な、姿勢調整

動作

内容

注意点



1.腰をベッドの背上げ屈曲点に合わす。

ベッドの背上げ屈曲点に骨盤の出っ張り部分がくる様に体の位置を調整。

この位置が足のほうにずれていると、食事中に体がずれていくのと、お腹が圧迫されて食べ物が胃へ入りにくくなる。



2.ひざ下にひざ下用クッションを入れる。

ベッドの膝折り曲げ頂点と膝の位置を合わす。

 ベッドサイズが体の体型に合っていない場合、膝下にクッションをいれベッドの膝折り曲げ頂点と膝の位置を合わす。体格やベッドの機種によって調整して下さい。



3.足上げと背上げを行う。

足側を上げ、背中側を上げ、足側を上げ、背中側を上げを繰り返し、目的のリクライニング角度にする。

 胸や腹部が圧迫されやすいので注意が必要です。



4.背抜き・足抜きを行う。

 背上げ・足上げを行ったとき衣服がマットレスに引っ張られ、不快感が生じています。

片側づつ背中をさするように衣服のしわを伸ばす。足抜きも同様に行う。



 5.肘クッション

麻痺があれば肘当てを置き体が傾かないようにする。



 6.足元クッション

足の裏が接していると嚥下しやすいといわれています。



 7.頭頸部の調整

嚥下しやすい頭頸部を調整。



1.ベッド上で、リクライニング角度30度から60度での、食事  (軽度~中度嚥下障害)


食道の入り口もひろげやすく、飲み込む力がでやすくなる頸部前屈・頸部前屈突出が基本です。ただし、嚥下反射惹起遅延(えんげはんしゃじゃっきちえん)がある場合、誤嚥は起こりやすくなります。

リクライニング角度30度で


「枕を高くして、あごを引いて食べさせてください。」と言われた方は、下写真のパターンⅢ、Ⅳ、Ⅴで試してください。  

あごを引きすぎているのなら、Mクッションの挿入場所を首側に移動させるか、タオルを②または③に挿入し頸部の高さを上げてください。あごが上がっているのなら①や③にタオルを入れて頭部の高さを上げるとあごが下がります。

枕下端を肩口に差し込むと、肩甲骨から頸部、後頭部とビーズが支えリラックスできます。


リクライニング角度45度で


「枕を高くして、顎を引いて食べさせてください。」と言われた方は,下写真のパターンⅠで試してみてください。 

あごを引きすぎているのなら、Sサイズクッションの挿入場所を変更してください。あごが上がっているのなら①や③にタオルを入れて頭部の高さを上げてください。

枕下端を肩口に差し込むと、肩甲骨から頸部、後頭部とビーズが支えリラックスできます。

枕がずり落ちてくる場合は、マジックテープ付き枕カバーとベッド取付シートを利用すると、頭が枕から離れても枕はずり落ちません。


頭頸部調整方法

 頭を高くして、顎を引いて食べさせてあげて下さい。】は頸部前屈姿勢のことです。

イージースワローを使用すると頸部前屈は、枕本体、Sクッション、Mクッション、市販タオルを使い

5つの基本パターンで調整可能です。頸部前屈突出の調整も可能です。

 イージースワローの説明  (頸部前屈の調整例)


枕本体のクッション挿入袋(3箇所)に2種類のクッションを症状により、個人差により、挿入場所を変えながら、頭頸部を調整します。

枕本体の裏面には、幅の異なる2つの挿入袋とその下の空間を利用した挿入袋があり、首と後頭部の高さを別々に調整することができます。 

挿入袋は伸縮性のためクッションやタオルは、しっかり保持され食事中に抜けません。また、保管中も抜かない限り枕の傾き形状は変わりません。

微調整は、タオル1枚でされています。枕と首の隙間をタオルの厚みを変えて行われています。

 

イージースワローは、ベッド上やリクライニング車いす上で頸部前屈姿勢を調整できます。

・タオル1枚を使って、

   枕と首の隙間を調整すると頸部の緊張もやわらぎ、気持ちよく食べられます.

・枕の下端を肩口に当てると食べやすくなります。

在宅療養の方は、医療従事者に相談して調整してください。

 

 

リクライニング角度60度で


食事をしているときに、
枕がずれ落ちる場合は、枕本体にマジックテープ付き枕カバーをかけて、ベッド取付シートのマジックテープで固定してから、ベッドに引っ掛けてください。

頭頸部の調整が必要な方は、タオル1枚を挿入袋①,②,③のどれかに。入れて調整して下さい。

身体が傾くときは肘置きに大き目のクッションを利用してください。

ベッド取付シートの利用
ベッド取付シートの利用
ベッドに設置した写真
ベッドに設置した写真

食事中に枕がずれ落ちる

 食事をしているときに、枕がずれ落ちる場合は、枕本体にマジックテープ付き枕カバーをかけて、ベッド取付シートのマジックテープで固定してから、ベッドに引っ掛けてくださいベッド取付シートは、2種類用意しております。 

イージースワロー枕本体の重さは280g、Sクッションは70g、Mクッションは120gです。

通常の枕(1kg)と比べると軽くずれ落ちにくくなっています。 


2.リクライニング車いすでの、食事ではイージースワロー枕本体とMクッション、Sクッションと
  マジックテープ付き枕カバー、
ベッド取り付けシート、ピタットくん90の併用が適しています。

  • 飲み込みやすい(誤嚥しにくい)頭頸部の調整はイージースワロー。
  • 側臥位の支持にはピタットくん90が使用できます。

リクライニング車いすは、ベッドよりも体幹が安定しやすい構造になっています。メーカーや機種によって特徴があり、ティルト機構を利用するとずれにくくなります。可変式のヘッドサポートには、イージースワローを取り付けることは難しいです。背もたれが延長したタイプのリクライニング車いすに適しています。

 

イージースワロー取付に適した車いすタイプ

イージースワロー取付に適した車いすタイプ

イージースワロー取付に適さない車いすタイプ


イージースワローは、軽度から重度の摂食嚥下障害者の頭頸部姿勢が調整できます。

イージースワロー専用の枕カバーは、直接リクライニング車いすのメスマジックテープに取り付けることができます。

また、ベッド取付シートを用いると位置決めが簡単にできます。そのまま、ベッド上で使うこともできます。

リクライニング角度 30度、45度、60度でのイージースワローの設定は、ベッド上での調整方法を参照してください。

専用のベッド取付シートを使用すれば、VF検査の状態をベッド上で再現できます。

側臥位での食事


麻痺のない方をベッド側にする側臥位(
健側傾斜姿勢で食事をするときやその姿勢から首を回旋する姿勢(一側嚥下)での、側臥位を安定させるためにピタットくん90が利用できます。ひざの間にLLサイズクッションや体幹サポートクッションを挟むとより楽な姿勢になります。

健側傾斜姿勢のポイントは、口から食道がベッド面と平行になるように頭部高さを揃えることです。

ピタットくん90は、不安定な側臥位を背中からビーズクッションが支え、体重が乗ったシートにより、クッションがずれません。

リクライニング30度の側臥位(健側傾斜姿勢)
リクライニング30度の側臥位(健側傾斜姿勢)

● イージースワローの特徴

枕の下にクッションやタオルを敷き頸部前屈を調整している
今までの方法と比べて、イージースワローは以下の点で優れています。

1.崩れにくく、飲み込みやすい頭頸部姿勢

 挿入袋内のクッションやタオルは抜けにくくなっており、時間が経っても枕の傾き形状は変わりにくくなっています。

2.再現性がある

  一度設定すると、次回からはクッションを置くだけで誰がやってもほぼ同じ頸部前屈が調整できます。 

3.微調整が簡単

 タオル1枚で頸部や頭部の高さを調整出来るので、日々の体調により、微調整が必要な時も簡単にできます。  

4.枕がずり落ちない

  マジックテープ付き枕カバーとベッド取り付けシートを使うと、むせたり、頭の位置を動かしたり、
 頭が枕から離れても枕はずり落ちません。

5.洗濯・消毒できます。

 ぬるま湯で手洗い後、脱水をかけて日陰で天日干しいてください。嘔吐・ノロウィルス等にも安心、次亜塩素酸消毒できます。
  • 今、行っている枕での調整と同じ感覚で調整できます。
  • 一度調整すると次からは置くだけです。
  • 微調整は、タオル1枚の調整ですみます。

イージースワローでもむせたり、飲み込めない場合は

横向きなって、食べる完全側臥位を試すことをお勧めいたします。

まだ、導入されていない病院も多くありますが、

最新の嚥下治療であり

最適な誤嚥予防の姿勢です。

まずは、「やってみよう完全側臥位法」を見てください。


なぜ横向きの姿勢が誤嚥しにくいのか、のどの特徴を説明します。無理な姿勢で食べず、楽な姿勢で楽しく食べられる完全側臥位法を説明します。

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