「体位を変えて広がる世界」

平成30年11月4日

 

秋になって過ごしやすくなり、父もお口から食べられるようになって体力がついてきたようなので、いろいろな所へ連れて行けたらとワクワク楽しい計画をしたくなりました



でもそれにはクリアしなければならないことがありました。
パーキンソン病で起立性低血圧もあるので、起き上がると血圧がぐんと下がってしまうこともあり、長時間座位でいることが難しいということと、首の反り返りが強く普通の人より唾液を貯めておけるスペースが狭いため、仰臥位でいるとすぐにゴロゴロしてしまって苦しくなるので頻繁に吸引をしなければならないことでした。

父を安全に快適に旅行に連れていくために、車中でも家でそうしているように唾液誤嚥を防ぐために回復体位にしてみたらどうだろうと思って試してみました。

私の車はそんなに大きくない普通車のため回復体位にすることは難しかったので、できるだけ回復体位に近い側臥位を目指して工夫しました。



助手席を目一杯倒してシートをスライドさせてから、車椅子から助手席に父を移乗する時に使う踏み台を2つ足元に重ねて、その上にホームセンターで購入した厚手のしっかりとした長座布を座席から足の部分に重ねました。
そして足元にもう一枚厚手のクッションを重ねて腰や足が高い位置になるようにしました。


母と2人で、バスタオルを使って父を少しずつ側臥位にして、頭をなるべく低い位置になるようにします。
首や背中にクッションを当てて前側に毛布を包んだものを抱えてもらって、足の間にもクッションを挟んで父が楽に姿勢を保てるようにしました。
そうすると父はゴロゴロすることなく静かな呼吸で気持ち良さそうにドライブを楽しむことができました。



 

そして父と母の49周年になる結婚記念日には、車で1間半ほどのところにあるリゾートホテルへ行くことができました

チャペルもあって夜にはイルミネーションもしてくれて、まるで父と母の結婚記念日を祝福してくれているかのようで大感激でした。

 

 

また別の日には父の生まれ育った地へ連れていくことができました。 

子供の頃から慣れ親しんだ海へ連れていくと、表情には喜びが溢れ、目を生き生きと輝かせて本当にうれしそうでした♡

風を感じ、波の音を聞き、全身で海を感じているようでした。

 

ちょうど一年前に父は救急搬送されてその日から入院となりました。

去年の今頃は生死をさまよっていました。

それから一年…こんなふうにまた旅行に行ける日がくるなんて…本当にうれしいです。

出掛ける日は、父はいつもよりうれしそうで笑顔が沢山みられます。

 

 

充電式の吸引器、血圧計、聴診器、パルスオキシメーター、クッション、経管栄養の準備やペースト食、OS-1などたくさん車に乗せて、こまめにバイタルチェックをしながら行きます。

車で安全に少し遠出ができるようになったのも体位の大切さを福村先生と弘子先生から教えていただきいたおかげです♡

体位を変えただけで父の世界はぐ〜んと広がりました。