犬食いはダメなの?

重症心身障害児のディサービスから相談がありました。
ディサービスでの昼食では、むせないのに、夕食をお母さんが食べさせている時によくむせる。時には食べたものを全部戻すくらいひどい時がある。

ディサービスの時と自宅との食事内容や食べさせ方の違いによって、起こるのではと思い、デイサービスでの食事内容を聞いて自宅で試してみたり、食事介助の方法を看護師に指導してもらったりいろいろ試したが変わらない。自宅で自分が息子に食べさせた時だけむせが激しい状況が続いて、母さんが思い悩んでいると相談がございました。
実際にディサービスで見させてもらったら、車椅子に座りテーブルに置かれたプレートに顔をつけるぐらいにして食べられていました。いわゆる犬食いです。自宅では、お母さんが隣に座り、スプーンで口元に持って行き食べさせていますと。
ディサービスでは犬食いスタイルで行儀は悪いけどむせずに食べています。自宅ではスプーンが口元に来るので、背中が垂直に近づきなおかつ顎が上がり気味になります。

ディサービスでは喉は水平方向に近く、自宅では喉は垂直方向に近い。それだけで、むせるかむせないか変わります。
お母さんにしてみれば、母性愛からしていた食事介助のために我が子をむせさせていたことがわかりいたたまれなかったそうです。


・喉の位置から考えると、犬食いは極度の前傾座位です。
トラピスで見ると喉頭蓋谷、梨状窩、中咽頭に溜まる。
口〜喉〜肺が水平方向に近くなり、流れゆるやかになる。
・座位は、トラピスで見ると
口〜喉〜肺が垂直方向になり、流れが速くなる。
原因は詳しい嚥下検査をしないと分かりません。しかし、姿勢を変えるだけで食べられる例です。病院に診察に行っても前傾座位の事を知らない医師や看護師はたくさんおられます。考えただけでも、想像はお任せいたします。

 

完全側臥位法は横になって食べることに重点が置かれていると思われていますが、それだけではないです。
完全側臥位、前傾座位、回復体位、0度仰臥位があります。
今回は、前傾座位になります。