「誕生日」

平成31年3月15日

 

父は81歳を迎えることができました♡

79歳の秋に病院に入院してからの月日は父にとって大きな試練でしたが、本当によくがんばって乗り越えてくれたと思います。
苦しい中でも食べたいという気持ちを持ち続けて懸命にリハビリをしていた父。
そんな父とこころを一つにして母と共に父を励ましながら、チカラを合わせてやってきたこの月日を思うと、また一つ歳を重ねられたことに喜びもひとしおです。
たくさんの方々に支えていただいて、この日を迎えられて感謝の気持ちでいっぱいです。

パーキンソン病の父は気圧の変化や気温の変動が大きいと自律神経が乱れてしまい体調を崩しやすく、覚醒も良くない日が続くこともあります。
食べはじめはパクパク食べてくれても途中で眠くなってしまうこともよくあって、そんな時はフィニッシュのとろみ水を飲んでもらうのも一苦労します。
そんなふうに良い日とそうでない日と波があって今日までいろいろなことがありました。
そんな父に寄り添っているといろいろと気づかされることも多いです。

どうしたらもっと食べてもらえるかなぁといろいろ考えて改善したり、回復を願うばかりについ食べてほしいという気持ちが強くなってしまうこともあるのですが、待つことや受け入れることの優しさを持って食事介助をする大切さを父から教えてもらいました。

一生懸命に一口一口食べる父の姿をとても愛おしく思うようになりました。
少しでも食べたい気持ちを引き出してあげられたらといろいろ工夫してきました。

父の好きな物を用意してそれから食べてもらうと食が進んだり、「これお父さんが元気になるように作ったよ♪」とあげると食べてくれたり、色々な味の物や食感が違うもの、温かいもの冷たいものを少しずつ用意して食べてもらって飽きないようにしたりしています
好物のお魚はペースト状のものより形のある方が断然食べっぷりがいいです。
まろやか専科のお魚シリーズは父のお気に入りです。
大好きな物を口にすると閉じていた目を開けてパクパクと食べっぷりが良くなったりします。
とても正直な反応をします。

「上手上手♪素晴らしいね♡おいしいねー♪食べてくれてありがとう」と言葉掛けをして、とにかく褒める♡
そんなふうにすると父もその気になってくれることが多いので、なるべく楽しく食べられるように声を掛けています。
母の「大好きだよ♡」に勝るものはありません。
食事の時間はコミュニケーションをとる大切な時間になっています

一口食べるごとに、父は生気を取り戻し、確実に命の光が強まっていくことを感じられて、お口から食べることの大切さを改めて知りました。

こうして大変な時もうれしい時も含めて一口一口、一日一日を積み重ねて父がまた一つ歳を重ねられたことがとても感慨深いです。

誕生日にはケーキでお祝いしました♪
ココナッツミルクの生クリームのケーキの味を損なわないように、スポンジをココナッツミルクに浸して少し柔らかくして父が食べやすいようにして食べさせてあげると
「おいしい、おいしい」と喜んでパクパク食べました。

父がパーキンソン病になって8年目になります。
年々自分でできることが減っていく不安からネガティブなことを言ったり母や私への要求が多くなっていきました。
とてもお恥ずかしい話ですが、疲労から父を負担に思っていたこともあります。
その頃の私には、なんでこんなに一生懸命やってるのに私を困らせるの…という気持ちがありました。
そういう気持ちを持っていたことを、父が入院してからとても後悔しました。
そんな私に、父は懸命に生きてまたお世話をすることができる時間をくれました。

生きるということ、老いていくということ、パーキンソン病という病気、…そういうことすべてを通して、父は命に向き合い、考える機会をくれました。
お口から食べることの大切さ、尊厳を守ってあげることの大切さ、言葉の大切さを父は言葉で、表情で正直に表して、今を精一杯生きる姿を通して教えてくれました。

在宅介護は大変なこともありますが、それ以上に人生において大切なことを教えてもらえることを父と歩んでいるうちに知りました。
父の存在に感謝しています。

         お父さん  ♡   ありがとう