唾液による誤嚥の不安から解放されよう

~唾液誤嚥から守る回復体位のすすめ~横になることで誤嚥性肺炎を予防しよう

【風邪は誤嚥性肺炎の元】

今年は、ラグビーワールドカップが開催され世界中の国から観戦客が来られました。そのため季節外れのインフルエンザが流行ったことがニュースになったことを覚えているでしょうか。

12月になり本格的な風邪、インフルエンザの季節になりました。

気をつけないと、この時期に風邪やインフルエンザから誤嚥性肺炎になる方もおられます。

 

例えば、

80代のご主人を奥様が自宅で介護をされていました。

少し嚥下が気になることがあったそうですが、

食事は常食を一緒に食べられていたそうです。

ご主人の調子が悪くなり、訪問医の先生に診てもらうと

「風邪ですね。栄養のあるものをしっかり食べさせて下さい。」

と言われたそうで、食べやすいものを作りしっかりとたべさせたと。

数日後に体調が悪くなり、病院で診察すると誤嚥性肺炎で即入院。

その後、口から食べる事を禁止され娘さんからお電話をいただきました。

奥様は先生の言われた通り、やったのに何が悪かったのか分からず後悔の念に押しつぶされそうです。医師はいつもと同じ事を話しただけです。誰も悪くないのに誤嚥性肺炎という結果。

 

風邪やインフルエンザなど喉に炎症が起こると、むせにくくなります。

普段は、むせて誤嚥していなかった食事もむせずに誤嚥することがあります。

この方がどのようにして、誤嚥性肺炎になったかは分かりませんが、

 

風邪やインフルエンザ、花粉症の時に喉の感覚が鈍り、むせなくなり食事中に誤嚥したり、喉や口に溜まっていた食べ物を食後に誤嚥したり、ベッドで休んでいる時に鼻水を誤嚥したりして、誤嚥性肺炎になることがあります。

 

【風邪を引いている時の喉はどうなっているかご存知ですか?】

風邪をひいて鼻水が垂れてきたところ
風邪をひいたときの喉の中

内視鏡で喉から気管の入り口を覗いた写真です。

鼻から鼻水が喉の背中側を伝わって垂れてきたところで、真ん中の暗いところが気管です。ここに唾液や食べ物が入る事を誤嚥と言います。

鼻水が今にもぽたっと落ちそうです。

落ちた先は、気管です。

急にむせたりすることはありませんか?


座位や仰臥位では、絶えず鼻水は気管に向かっています。

就寝時は唾液と鼻水が喉に溜まります。

鼻水には塩分が含まれているので、喉に溜まっていると炎症に繋がります。

炎症などで感覚が麻痺していると、むせずに誤嚥してしまいます。

鼻水や唾液の誤嚥を防ぐのに咳払いをしますが、

咳一回で2kcal消費すると言われています。

咳が続くと疲れますよね。

疲れて咳ができなかったら、どうなるか考えただけでも怖いですよね。

風邪やインフルエンザ、花粉症の時は気をつけてください。

 

 

【唾液や鼻水によるむせや誤嚥を防ぐ回復体位】

風邪やインフルエンザ、花粉症など鼻水や唾液が多い時に有効な姿勢は、横になって口元を下げる回復体位です。

・救命救急のときに嘔吐物を口から出す姿勢です。

・病院でも咳き込む場合や唾液が多い時は、側臥位をとります。

 

・気をつけないといけないのは、側臥位でも誤嚥を助長する側臥位もあります。

多くの方は、実際の喉の立体構造を知りません。

 

横からの断面図でしか喉の構造を学習していなかったので仕方がないことです。

実際の喉は複雑で正面から見ると横に広くなっています。また、食道は普段封筒のようにペッチャンコにくっついて唾液も流れません。

完全側臥位になると誤嚥できない位置に溜まる
完全側臥位になると誤嚥できない位置に溜まる

透明咽頭モデル「トラピス」は、喉の内部構造と液体の流れが見られます。真横になると喉の側面は、口と気管が水平になりその下側の喉の側面が窪みのようになり鼻水や唾液を溜めておく空間が生じます。この事実はトラピスができるまで摂食・嚥下に取り組んでいる医療従事者でさえ理解されていませんでした。介護分野では、知らないのは仕方がないことです。

 

頭を気持ち下げると肺〜喉〜口と勾配がつくので、鼻から喉に流れ込んだ鼻水や口から出た唾液は肺に入ることはできないです。口元を下げるとよだれとして、唾液や痰は口から流れ出ます。

【手と足を乗せるだけで回復体位が調整できる回復体位クッション】

唾液誤嚥で苦しんでいる方は、病院、施設、在宅どこにでもおられます。

・在宅では、ご本人やご家族は専門的な情報や知識、技術は乏しく有用なクッションを購入しても十分に活用できていないのが現状ではないでしょうか。そこで、技術や知識がなくても唾液誤嚥予防が誰でも調整できる回復体位専用のクッションを考えました。

唾液誤嚥で苦しむのは、ご本人でありご家族です。従って、在宅療養されている方々とそれをサポートするスタッフ向けに姿勢の意味が分かりやすく、使いやすいことをコンセプトに開発いたしました。もちろん、唾液誤嚥予防に力を入れられ回復体位を教えてくださった摂食嚥下障害看護認定看護師のアドバイスで最終形態を完成させました。さらに、回復体位の調整と唾液誤嚥についての解説を収録したDVDを付属しています。

 

唾液誤嚥予防姿勢(90度側臥位で口元を下に向ける回復体位)では、唾液は肺に入らない
唾液誤嚥予防姿勢(90度側臥位で口元を下に向ける回復体位)では、唾液は肺に入らない

 

写真のように90度側臥位(完全側臥位)をとります。この時のポイントは、いかにリラックスでき過ごすことができるかです。

1、肩と肘は水平に

胸が張り呼吸しやすくなります。肘が上がり過ぎたり下がりすぎたりすると肩に痛みを感じられる方もいます。

2、大転子(股関節)と膝、踵は水平に

足の間にクッションを挟み込むだけでは、足の重みで股関節を痛めたり、90度側臥位が不安定になります。また、身長にもよりますが、クッションを触りながら足底にクッションを当てることも可能です。

3、マットレスに注意

90度側臥位(完全側臥位)が、仰臥位や他の側臥位と異なるのは、体の重さが側面にかかるため体圧分散がしにくくなることです。圧力が高くなります。エアーマットレスの場合、圧を変えないで90度側臥位(完全側臥位)になると底付きが生じている場合もあり、場合によっては肩や腰に褥瘡ができる場合もあります。手をエアーマットレスとベッド面に入れ底付きしていないか確認し圧の調整をしてください。

肩幅と腰の幅には差がある。男女によっても差がある。マットレスの種類によっても差が生じる。硬めのマット・柔らかめのマット。

4、クッションの中材を減らすことができる。
民家でホームホスピスをされているところでは、Aさんに合わして作るとBさんには合わないので、タオルをカバーと中材の間に入れて調整。Cさんは厚みがあるのでクッションの中身を減らしたい。少し減らしてもさらに減らしたい。この時に、マットレスが違うことによって沈み込む深さが異なることから中材を減らせるようにしました。

4、唾液誤嚥予防DVD付属

健和会病院看護部 摂食嚥下障害看護認定看護師 福村弘子看護師による解説

・唾液誤嚥について

・唾液の色について

・回復体位の調整について