嚥下障害と一言で言ってもその原因は多々あります。原因によって対策が決まります。ではどんな原因の時に完全側臥位法が役に立つのでしょうか。
のど(咽頭)は横広の空間です。そのほぼ真ん中に肺の入り口(喉頭)があります。喉頭に食物や唾液などが入ると危険です。どうやったら喉頭に入れないで食べられるか、というパズルを考えます。私はこのパズルを考えるためにコーケンさんにお願いして「咽頭喉頭透明モデル」を作成しました。単純には下図1のように、真上から見ると前後に比べて両サイドに喉頭のスペースが広く空いています。ここをうまく使います。
最もわかりやすいのは飲み込んでも食べ物がのどに残ってしまう方です。残ってしまった食べ物をどこに置けるのか。座位では下図1、2、3から喉頭蓋の外側と咽頭の下側に貯めることができますがあまり広いスペースではありません。仰臥位では咽頭の下側だけに貯められるのでこれは座位よりもスペースが狭くなります。側臥位では咽頭側方に貯めることになりますが、これがもっとも広いスペースを担保します。
咽頭に貯める、という方法がマスターできるといろいろと活用ができます。例えば嚥下運動は反射で生じますので、その反射が遅れてしまう場合。これは感覚入力が一定以上に達しないと嚥下運動が生じないわけですが、その刺激を作り出すために咽頭にたくさん食べ物をため込む方法が使えます。嚥下反射を生み出すための完全側臥位というわけです。
従来から用いられていた一側嚥下も完全側臥位で目的を達することができます。
いろいろと応用が利く完全側臥位です。まずこの3パターンを試してみてはいかがでしょうか。
福村直毅
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=866x10000:format=jpg/path/s2e33858c979f8322/image/i85fb6b0c06f04826/version/1567062085/image.jpg)
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=671x10000:format=jpg/path/s2e33858c979f8322/image/i56997443c3fd73f7/version/1567062075/image.jpg)